なぜ無視するのか~無視する側にあるもの
無視されるとたとえようもなく心が苦しくなります。
なぜ無視するのでしょうか?
無視している人は「無視している自分」に気がついているものです。
わざと挨拶しない、目が合っても知らん顔をする、声をかけても返事をしない、そもそも目を合わさない・・・というのはそれなりにパワーが必要なのです。
・・・もちろん、視力が弱いために近づいて目が合っているはずなのに挨拶ができない人もいますし、個人的な考え事でいっぱいいっぱいの状態で、悪気なく挨拶できない、ということはもちろんありますから、挨拶されないからというだけのことで「無視されている!」ことにはならないのでそこは注意したいものです。
さて、無視をするには、先ほども書きましたが、思っているよりもパワーが必要ですし、継続するには・・・変な言い方ですが・・・強い意志や粘り強さが必要です。
周囲の人が、無視が身近で行われていることに気がついているかどうか・・・。
周囲がそれを知ったとき「まさか!」という反応が返ってくる場合もあります。
周囲が一緒になって集団で無視しているという場合もあります。
無視、と一言で言ってもいろいろなシチュエーションがありますよね。
ただ、「無視」というと、どうしても「無視される側」に何か改善しなければならないようなことがある、というふうに思われがちです。
しかし「無視する側に心理的な何かがある」という場合も少なくないのです。
「積極的に連絡をとっているのに無視されて返事が返ってこない・・・」
というケースで「無視する側に心理的な何かがある」ことを少し掘り下げてみましょう。。。
SNSで連絡をしても以前は楽しい返事がすぐ返ってきたのに、次第に返事が返ってこなくなり、最近では返事がすごく遅くなってきて、文字数も少なくそっけない感じがしてきた・・・こちらのメッセージを読んでいないこともある・・・会っても避けられているように思う・・・こちらは向こうから連絡が来たときにはいつも真剣に誠実に返事をしているのに・・・
こういう場合にあなたが「無視されている側」だったとしましょう。
相手は確かにあなたを避けているのですね。
なぜでしょうか。
相手があなたを避けている気がするな、と思えるとき。
優しくて感受性の豊かなあなたは、相手のいつもと違う態度に気がついてまず自分を振り返ります。
「あのことかな?」「あの言葉かな?」
そしてついに、「きっとあのことだ!」「あの言葉を言ってしまったからだ!」「あんな態度をしたからだ!」と思いあたります。
そんなあなたが次にとりかかるのは「わたしは悪気があったのではないのです」「あなたを傷つけるつもりはなかったのです」「あなたが傷つかなくてもいいのですよ」と伝えなければ!と、相手に対して一生懸命コンタクトをとろうとする・・・・。
あなたが思っている「きっとあのこと!」や「あの言葉」「あんな態度」は、あながち間違いではないかもしれませんが、あなたが想像するのと同じように相手が感じているかどうかというと・・・ちょっと違うのです。
確かに、あなたの言った、あるいはした何かが、相手の心をつらくさせたり、苦しくさせたり、イライラさせたりしてしまっている可能性はあります。
・・・というと、それはまるであなたが「悪い」ことをしたとか、「直さなければ」ならないことがある、というふうに聞こえてしまうかもしれません。
しかし、相手はあなたを「無視」するわけです。
「無視」以外にも、あなたに伝える方法があるにもかかわらず、です。
こういうとき、あなたは「悪い」ことをしたわけでも「直さなければならない」ことがあるわけでもないのです。
実は、相手はあなたの言動をきっかけに、自分自身の中にある何かがとても居心地悪く感じられるのです。
その原因は、相手の過去の出来事や、人間関係の中で培われたものの中にあって、その人自身が乗り越えていない・・・解決していない・・・未解決な・・・部分。
相手がもし自分自身の”未解決部分”を自覚していれば、おそらく「無視」という態度にはならないはずです。
しかし、「無視」という行動に出てしまう。
ということは、相手は自分の中にある”未解決部分”にまだ気がついていないのです。
あなたの何かによって、相手にとっての無意識の範囲にある”未解決部分”が呼び覚まされることになり、居心地が悪くなるわけですね。
居心地が悪いので、なんとなくあなたを避けたい、なんだったら見たくない、触れたくない、声も聞きたくない・・・という行動に出てしまった結果「無視」となる、ということもあるのです。
・・・こういう場合、あなたが相手のためにできることは何だと思いますか?