本人に聞いてみましょう
発達支援をしているクラスのこどもたちのお母さんから「こういった場合にどうしたらいいでしょう?」と質問されることがあります。
どんなときにもあてはまるわけではありませんが、お子さん自身に聞いてみたらどうでしょうか、とお答えすることが少なくありません。今日は「本人に聞いてみましょう」という提案です。
こどもが困っていたとき・・・たとえば小学校でお友だちとトラブルになったとき・・・親としては心配が先にたち、なんとか解決してあげなければ!と思うものですよね。わが子が苦しんでいればいたたまれない気持ちになり、一刻も早くなんとかしてやりたい、と思うのは自然なことだと思います。
そして、こちらが経験が豊かなあまり、あっという間に「こうしたらいいんだよ」「こうしなさい」などと、解決のための早道を伝えてしまったりするものです・・・決め付けるのはよくないことなんだろうなと思いつつも。
でも、ここはちょっとはやる気持ちを抑えてみませんか。
まずはいったん落ち着いて、こどもと同じ目線の高さに自分の目線を合わせ、どんな気持ちなのか、あるいはどんな気持ちだったのかを尋ねてみましょう。
言葉が出ないようなら「泣いちゃった?」「悲しかった?」「腹が立った?」などいくつかあげて聞いてみるといいですよ。
「こういう場合ならおそらく腹が立ったと答えるのだろうな」と思える場面に意外にも「悲しかった」など予想と違った感想を答えることもあり、こどもの感性がこちらとは違うことにハッと気づかされることもあります。
気持ちを聞くことができれば、その気持ちになった”もと”も聞いてみましょう。
「どんなことが悲しかったの?」「何に腹が立ったの?」
聞かれたことに答えようとすることでこどもは改めて自分自身の考えを言葉にして考えようとしはじめます。
そうしてはじめてこどもにとって重大な解決したいポイントが明らかになってきます。
そこで「どうしたい?」あるいは「どうしたかった?」と聞いてみるのです。
こどもが低学年であれば「どうしたいか」「どうすれば解決できるのか」といった知恵がまだありません。
そこで具体的に「どうしたいか」を伝えてみます。
たとえば「お友だちに悲しかったことを自分でお話ししてみる?」「先生にこんなことがあったことをお話ししてみる?」「お母さん(お父さん)から先生にお手紙を書こうか?」などでしょうか。
聞いてみても、期待通りに答えが返ってこないこともあります。
しかし、こういうことをことあるごとに繰り返していくうちに、こどもは次第に「気持ち」をあらわす言葉や自分の気持ちについて考えるようになります。
そして少しずつ、上手に周囲に頼ること、自分で解決できる力を身につけるようになります。
お母さんが・・・あるいはお父さんが・・・こどものためにどのように手助けをしてあげればよいか、途方にくれるとき。
当の本人に尋ねてみましょう。
大人が「これがいい!」と思う方法がこどもにとって良い方法であるとは限らないからです。
とても難しいことですけれども、こどもは言葉をまだ知らないから表現できないだけで、ちゃんと正しい解決方法を知っている可能性は高いのです。
どうすればいいのか迷ったら・・・ぜひ本人に聞いてみましょう。