諦めざるを得なかった夢

イップスという言葉をご存知でしょうか。

とある方と雑談をしている中で、学生時代の夢を諦めたという話を聞きました。
その方は、プロ野球選手を目指していたというのです。

close up photography of four baseballs on green lawn grasses


イップスというのは、野球だけでなくゴルフなどのスポーツや音楽の演奏家にもあらわれる症状で、あるとき突然、それまで当たり前にできていたパフォーマンスができなくなってしまう、というものです。
運動をするための機能的な問題は何もないのに、ある日突然動作ができなくなる・・・確たる原因を見つけることは難しく、また解決方法もまだ確立されていません。
ある日突然特定の動作ができなくなってしまうのですが、シチュエーションによっては通常通り動作ができるという方もおられるようです。
心理的なことが原因といわれていますので、いわゆる「あがり」と思われることもありますが、「あがり」とは別ともいわれています。

base on the city baseball field

プロ野球選手を目指していたというその方は、ご自身でもプロを目指せるだけの実力と自信を持っていましたし、周囲からも大きく期待されていました。
そうなったのも、子どものころから練習に時間を費やし、いろいろなものを我慢し、でも好きな得意な野球のために努力してこられたに違いありません。

それが、プロになる目前という時期になって身体が思うように動かなくなってしまうのです。
諦めきれないけれども諦めざるをえないそのときの思いを淡々とお話されていましたが、どれほど辛い思いをされたのかと考えると本当に胸が痛みました。

やむをえない事情で夢を諦めること。
あなたは諦めた夢がありますか?

そういうことは、実はみなさん黙っているけれども少なくないのではないかと思います。
それぞれの事情で何かを諦めざるをえないとき、それぞれがそれぞれにいろいろな理由をつけて何よりも一番に自分自身を納得させ、乗り越えて生きていくのでしょう。

乗り越えて生きていく・・・言葉では簡単ですが、真の意味で乗り越えるために必要な時間は、数年、数十年必要かもしれません。
乗り越えられるまでの間、常に、ではないかもしれませんがその人の中では自問自答が繰り返されることでしょう。
乗り越えられるその時は、他人に決められるものではなく、本人しかわからないものです。

ひとついえることは。
諦めた夢がある、ということはその人の人生に深みをもたらすものなのだと思います。
自分自身を見つめようと自問自答を繰り返す中で、物事の捉え方が深くなり、強く優しくなれるのだと思います。

まだ自問自答の途中のように見えたその方が、いつの日か、以前とは違った形で再び野球の世界に戻る日が来ることを祈りたいと思います。

Follow me!