慣れないでもいいということ
私は幸せなことに戦争を身近に体験せずに生きてきました。
だからといって戦争とは無関係とは言えません。
会ったこともない伯父たちは陸軍、海軍でそれぞれ戦死しています。
写真の中の伯父たちは、10代、20代前半の、人生でもっとも輝くときのまま。
伯父、というにはあまりにも若すぎて胸が痛みます。
私が小学生のころ、平和学習が盛んに行われていました。
教室には戦争を生々しく描いた長編マンガが学級文庫にあり、戦争は恐ろしいもの、そして、なにより戦争に巻き込まれ極限状態になったときの人は恐ろしいものだということを知りました。
それでも子どものころ、戦争は、別世界の出来事のように思っていました。そもそも人生経験がないから、というのもあるかもしれませんが、写真や動画で見るものがほとんど白黒だったということも影響していると思います。
白と黒だけの世界は、子ども時代の私にとってはお話の中の出来事のように感じられ、どうしても実感がわきませんでした。
しかし、年齢を重ねるにつれ、いろいろな人と関わりを持ち、世の中にはいろんな考えの人が生きているということを知り、そして世界中でおきるさまざまな出来事を見るにつけ、戦争は実は遠い出来事ではないのかもしれない・・と思えるようになりました。
それにしても、戦争ってどうやって始まるのでしょう?
今、ニュースでは連日のように戦争の話題でもちきりです。
日本と遠く離れた場所での戦闘が「どちらが優勢だ」「どんな爆撃が行われた」など。
知らず知らずのうちに、戦争の話題が「日常」に入り込んできています。
戦争のニュースが報じられることに、違和感を感じなくなってきている今日この頃。
前の戦争のときにもこんな風に、当たり前の日常に、少しずつ戦争が入り込んできていたのかもしれません。
慣れることは大切です。
また、時に、慣れることは簡単だったりします。慣れてしまったほうが楽に感じられることもあります。
しかし、慣れてきたことに気がついたり、慣れない視点を持つことが、大切なことを失わないこと、大切なことを忘れないこと、そして大切なものや人を守ることにつながるように思います。