不登校の子に親として寄り添う
少し前になりますが、4/29の産経新聞の記事として紹介されていた”「スクールカウンセラーは助言を」文科省が全国教委に要請”、とても興味深く読みました。
個人的に興味をひかれたこの記事のポイントを、まるっとまるめながらクローズアップしますと・・・
平成7年度から配置が始まり、子どもたちの不登校などについて、子どもたちだけでなく保護者や教員らの心理的サポートを担っているスクールカウンセラーが、サポートを受けたい側が必要としている「助言」をあまりしてくれない実態があることがわかったので、文科省が全国の教育委員会に「スクールカウンセラーは話を聴くだけじゃなくて助言もするように」求めた・・・というもの。
そしてこの記事には保護者のコメント「・・・仕事を休んでまで相談することはもうない」も掲載されています。
さて。スクールカウンセラーに期待されていることに、子どもの不登校への心理的支援があります。
もし、子どもが学校に行かなくなったら。
・・・子どもが学校に行きたくないと言い出し、3、4日くらいなら体調不良で休みたいこともあるだろうと様子を見ていたところ、1週間が過ぎ、2週間が過ぎても学校に行けないという。
話をしてみるといつもどおりに会話ができるし、ゲームの話題やテレビドラマのストーリーといったことは笑顔も出て楽しそうに話をしている。
しかし、学校に行く、という話になると口を閉ざしてしまって返事が返ってこなくなる。
学校に行かないのには何か理由があるはずだと思うので、その理由をさぐろうとするけれども、学校が嫌というわけではないらしい。
先生も嫌いじゃないし、友達と喧嘩をしたわけでもないという。
じゃぁ行けるんじゃないか?と言うと、明日は絶対に学校に行くと言い張るので安心して翌日を迎えるも、また学校には行けない。
では一緒に行こうと家を出るが、途中で動けなくなってしまう。
教室に行くと考えると胸が苦しくなるし足が動かなくなる・・・
親としてはもちろん学校に通ってほしい、”普通”に過ごしてほしいと願い、親としてできる限りのことはやりつくします。(この”普通”というのがいったいどういうことなのか、というのはまた深い話になりますが。)
しかし、子どもは動かない。動けない。
ではどうすればいいのかと途方にくれた状態で、勧められたりしたスクールカウンセラーのところへ行くことに。
「スクールカウンセラーというからには、きっと何か解決方法を教えてくれるに違いない!」
という期待も空しく、質問をして話は聞いてくれるけれども何もアドバイスらしいことを答えてくれない。
これから私は・・・我が子に対していったいどうしたらいいの!?相談した時間は、私の期待はいったいなんだったの!?
さきほどの記事の中で紹介されていたある母親のコメントの背景が見える気がします。
学校に行くべき年齢の子どもが、学校に行きたくない、行けない、というとき、その理由はきっとどこかにあるはずなのです。
しかし、子どもを取り巻く状況は一人ひとり違いますから、結果として「学校に行かない」というような同じ行動になったとしても、その理由はさまざま。
子ども自身ですら、その理由やきっかけについて気がついていないこともあります。
自分では大したことではないと思い込んでいること、そしてそのこと自体が身体の不調につながっていることもあり、理由が誰にも明らかにならないまま学校にいけない状況が長引くことも少なくありません。
そんな子どもにとって、親が学校に出向いて話をしてくれる、スクールカウンセラーと話をしてくれる、という行動を見ることは、意味がないことではありません。
親が自分のために、自分だけのために、時間をとって何度も学校まで足を運んでいるという行動は、親が思うよりも子どもの心に響くものです。
それがすぐに子どもの心を動かすことにつながらないとしても、その親の思いはちゃんと子どもに伝わります。
たとえ「スクールカウンセラーが何もアドバイスをしてくれない」と残念な思いをしたとしても。
子どもの心に寄り添うこういった行動の一つ一つが、子どもの心を強くしていくのだと思います。