子どもが描く絵~心に寄り添うヒント
発達障害のサポートを行なっている子どもたちに、ときどき絵を描いてもらうことがあります。
数回描いてもらううちに、その子どもがいつもどんなタッチで、どんな風に絵を描くのかがなんとなく見えてきます。
絵が得意で好きな子どもも苦手な子どもも、筆圧だったり線の描き方だったり、個性があります。
子どもが描いた絵には、特に幼児期には発達段階に応じて特徴が見られ、成長や発達の程度を見ることがあります。
大人も、描く絵をもとに行なわれる心理検査もあります。
絵は、描く人の心を通して表現されたものですから、描いている本人すら意識していない心の中の何かが描かれている場合があって、絵をもとにその人の心の中を紐解くヒントを得ることができる場合があるのです。
また、絵を描くことをきっかけに、心の問題だけでなく、視覚や視野、また脳の機能的なことに何か不調があるということが見つかる場合もあります。
というわけで私は子どもの描いた絵を見るときには・・・学校の授業参観などで教室に飾ってあるときなど・・・職業柄ついそういった目で見てしまった挙句、知らない子どもの気になる絵を見つけて一人やきもきすることもあります・・・。
さて、先日、小学生のAさんの絵を見て少し気になることがありました。
Aさんは絵を描くことが好きで、細かい線を上手に使って人物や小動物の絵を表情豊かに描くことが多いのです。
ところが、あるときAさんが描いた絵を見せにきてくれたとき、Aさんの表情はいつもと変わらないように見えましたが、私はその絵はAさんがいつも描く絵とは少し雰囲気が違っているように思いました。
絵に登場している人物(だったり動物だったり)の表情や、大きさのバランス、それぞれの位置などがいつもと違い、違和感があります。
しかし、Aさんの話しをしている表情や友達と遊んでいる様子を見ると、何も変わったところはなく普段と同じように見えます。
絵から感じた違和感は、気のせいだったらいいなと思いつつ過ごししていましたが、その後、Aさんのお母さんからお話しを聞くことができました。
やはり、数日前にお家である出来事があったとのこと。
聞くと、その出来事が本人に与えた影響は少なくないようです。
本人の様子を見ているだけでは伺い知れませんが、絵でAさんは心の風景を表現していたのです。
さて。
絵がいつも心象すべてを表現しているわけでもありませんから、子どもの絵を見るたびにいらぬ心配をする必要はないと思います。
ただ、子どもがふと描く絵が気になったとき・・・それは例えば「なぜこんな色を使うの?」ということかもしれませんし「なぜこんなに小さく描くの?」ということかもしれません。
大人あるいは親から見たら「なぜこんな絵なの?」と思うとき。
それはその子どもの心に寄り添うべきときなのかもしれません。
そんなときは、絵について根掘り葉掘り聞くのではなく、いつもよりも多めに寄りそう気持ちを込めて笑顔を見せてそばにいてあげてみてください。
子どもは十分安心できたと感じたとき、きっと自分の言葉で自分の心の中を話し始めます。
子どもの話を紐解く中で悩みが出てきたら・・・
ぜひご一緒に考えましょう