子どもの自立のために親としてすべきことは

このごろ家の外で子どもたちがさまざまな体験ができる場所が増えてきました。
自然と触れ合う体験、動物たちと触れ合う体験、職業の疑似体験、ものづくり体験、科学の実験、スポーツや楽器の体験・・・私たちが子どものころにはなかった楽しい施設などがあちこちにあります。
私も幼いころに体験できればきっと楽しかっただろうなぁと思ったりします。

happy little girl with yellow leaves standing in autumn park



子どもの隠れた可能性や才能を引き出し、将来につなげるためにあれこれ体験をさせたいという親御さんの気持ちはとても愛にあふれています。
「うちの子に、いったいどんな体験をさせてあげればいいでしょうか?」
という質問をいただくことがあります。

どのような体験でも、本人が興味があったり興味を持ちそうなことでなおかつ状況が許せば、できるだけたくさんお体験させてあげたいなと思うのですが、その前に、なぜ子どもに「体験」をさせてあげたいのか、というお話を伺っていきますと「いずれはこの子も独り立ちをしなければならなくなる、いつまでも親に頼らず自立できるようにしてあげたい」という気持ちが見えてきます。

「子どもが自立できるように」という親御さんの思い。これも愛にあふれています。
ところで、あらためて考えると「自立」ってどういうことでしょうか?
どういう状態を「自立」と言えばいいのでしょうか?

一口に「自立」と言っても、子どもの年齢によってできることや期待されることは違ってきそうですよね。

小学校中学年のお子さんを持つある親御さんは、「もし明日私が倒れてしまっても一人で生きていけるような力を身につけさせたい」とおっしゃいました。
こういう風におっしゃる方は少なくありません。

そうですよね、親御さんが急に病気になって突然動けなくなることが、可能性として低いかもしれませんが、ないわけではありませんね。

ではもしそういうこと、つまりお母さんやお父さんが急病で明日倒れてしまって動けない、ということになったとして。

お子さんは明日、炊飯器を使ってご飯を炊くことはできるでしょうか?

ご飯を炊くためには、
・お米が家のどこにあるかを知っている
・お米の量と水の量を正確に的確に量ることができる
・お米の洗い方を知っている(無洗米なら不要ですが・・・)
・炊飯器のスイッチを押すことができる
というようなことができる必要がありますね。

ご飯だけでは栄養が不足するでしょうから、簡単なおかずを作ることができればいいですね。
・必要な材料が家のどこにあるかを知っている
・包丁とまな板を使って材料の下ごしらえができる
・適切に火を使うことができる
・調味料の適切な量を知っており味付けができる
などができればよいでしょうか。

これらのほかにも、お米やその他の食材を、お店で買ってくる、ということも必要になりますね。
そうするとお金の計算もできなければなりません。

「いかがでしょうか?お子さんは明日、そういったことができるでしょうか?」

・・・と質問したときに、「できないかも・・・」とおっしゃる親御さんもこれまた意外に少なくないのです。

close up of salad in plate


今や、お湯さえ沸かすことができて、やけどをしないようにカップに注ぐことができれば、食べることにはとりあえず困らないかもしれません。
ただ、基本的な食事ができる、何か自分で作って食べることができる、ということは子どもにとって大いに自信につながります。そしてあって困る力ではありません。

そんな風に考えると、外に「体験」を求めることもできますが、家の中でも十分「体験」はできそうですよね。
「自立」は年齢によって内容が違ってきますし、個性にもよりますが、小学生であれば身の回りのことが自分でできるようになり、年齢が上がるにつれて家族のことも考えて行動ができる力が出てきます。

家の中での「体験」は親として気をもむことも多いですし、準備の手間も少々必要にはなると思います。

しかし丁寧に教えてあげたことはその子の一生の宝物になります。

目の前の子どもの「自立」にとって何が必要なのか、どういった状況のときにどういう力があったほうがいいのか、ぜひご自身の経験も・・・子ども時代の思い出も・・・振り返ってお子さんに「体験」をさせてあげてみてくださいね。

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