知らない言葉は使えない~子どもの話すことばについて
「なぜ、うちの子はこういうことを言ってしまうのでしょう?」
発達障害の支援を行っているクラスのお母さんが、そうつぶやかれるのを良く耳にします。
クラスの中で過ごしているなかで、クラスメイトのちょっとした失敗を目撃したとき、
「そんなこともわからないんだな!」
「こんなことを間違うなんて、はずかしくないの?」
などと、大きな声で相手に言ってしまい、そこからいざこざが生まれてしまう・・という場面。
こういった場合に、言ったほう、言われたほうの子どもたちに、どのようにサポートしていくかというのは少し置いておきまして。
「そんなこともわからないんだな!」
「こんなことを間違うなんて、はずかしくないの?」
あらためてこういった言葉を眺めたとき、この言葉を発した子どもが、思いついてこういう言葉を言ったはずはない、ということに気がつきます。
言うまでもなく、子どもは・・・人は、知らない言葉を使うことはできないのです。
では、どこで知ったのか・・・。
この子どもが身近な人から常日頃こういう言葉を言われているに違いないのです。
なぜなら発達障害の子どもの場合、「できない」と思われることが多いから。
日常生活の中でこういう言葉を同年代の他の子どもよりも多く浴びていることは少なくありません。
この子どもは、もちろんこうした言葉の意味はわかっています。
ただ、これらの言葉がどの程度の「きつさ」であるのかは、人生経験の少ない子どもであるが故に正しく理解していないのですね。
今自分が発した言葉が、どれほど相手の心に衝撃を与えるのかということを、理解してはいないのです。
なぜなら、自分が日常よく耳にする言葉だから。
日常言われつけているがために、その言葉はその子どもにとっては「あたりまえの言葉」なのです。
きつい言葉であってもそれを身近な相手に投げかけることは、その子どもにとってある種の「コミュニケーション」なのかもしれません。
一方、周囲の大人がこうした言葉を使う理由は、その子どもの心を傷つけたいため、ではないと思います。
反省を促したり、諌めたり・・・子どものためにという心から、つい出てきてしまう言葉のように思います。
しかし、子どもを思いながら使ってしまう言葉が、その子どもの周囲から人を遠ざけているとしたら・・・。
それは本意ではありませんよね。
純粋な子どもであればあるほど、大人のことを素直に真似をしてしまうものです。
自分が子どもにどんな言葉をかけているのか。
それは子どもを見ればわかるのかもしれません。